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デイサービスをはじめるためには、都道府県(市町村)からの事業指定を受けなければなりません。指定を受けるためには介護保険法定められた設備基準を満たす必要があります。介護保険で定められている設備基準は以下のとおりです。
1 食堂と機能訓練室を合計した面積が、利用定員1人あたり3㎡以上であること
2 利用者が静養できる場所(静養室)と事務室を設けること
3 相談室に関して遮蔽物などを設けることで相談内容が漏れないようにすること
4 消防設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けること
これを順番に詳しく見ていきます。
食堂と機能訓練室
食堂と機能訓練室を合計した面積が、利用定員1人あたり3㎡以上であることが必要です。ただし、食事機能訓練に支障がない広さを確保できれば、同一の場所にすることも可能です。尚、狭い部屋を多数設置して基準を満たすことは認められていません。
食堂については、スタッフも同席できるようにゆったりとることが必要です。スタッフのが同席することを考えると1人あたり3㎡では狭いと思いますので、基準以上の広さが設けられるようにしてもよいと思います。
機能訓練とは、簡単な体操を行うことで、利用者さんの身体能力を低下させないメニューのことです。機能訓練を行うための部屋が機能訓練室です。
デイサービスは、利用者さんの自立生活を支援する在宅サービスの一環です。一人一人の身体機能にあわせながら機能訓練を行うこともデイサービスに欠かせない目標となります。機能訓練を行うための設備は、大掛かりなもの(ジムにおいてあるようなトレーニングマシン)でなくてもかまいません。イスに座ったままでできる手首の運動などでも十分に効果があります。筋力の低下を防ぐためなのですから、日常生活の延長でおこなうような動作、立ったり、座ったり、歩いたりすることでよいと思います。
代表的な機能訓練は次のようなものです。
■ 口腔ケア
■ 栄養管理
■ 筋力の低下を防ぐ訓練
■ 生活習慣を整えること
静養室
利用定員に対して、複数の利用者さんが同時に利用できる専用の部屋を確保することが必要です。静養室に何を設けるべきかについては、特に定められていませんが、おおむね次のようなものが必要です。
■ イス、ソファ
■ テーブル
■ 簡易ベッド
事務室
スタッフが、事務処理や会議を行う仕事場となります。事務を行う場所なので次のようなものは必要です。広さに規定はありませんが、職員・備品を配置できる程度の広さが必要です。
■ 事務机、イス
■ パソコン、プリンター、電話FAX
相談室
独立した相談室を設けることができればそれに越したことはありませんが、事務室と相談室を同じ部屋として、パテーションで区分することでも可能ですが、遮蔽物などを設けることで相談内容が漏れないようにすることが必要です。パテーションで区分することの可否については、事前に役所と相談しておいたほうがよいと思います。各都道府県(市町村によって)またケースによって異なりますので、図面などを持参して、事前に打ち合わせをすることをおすすめします。
相談室に設置する備品としては次のようなものがあります。
■ 相談机、イス
■ パテーション
消防設備その他の非常災害に際して必要な設備
運営基準には、非常災害時の避難・救出計画を立てたり、衛生管理に努めなければならないなどの定めがあります。「避難しやすい家屋であるか」「衛生管理が保てる設備であるか」は事業者指定に際してチェックの対象になります。災害衛生への対応については次のようなことを検討する必要があります。
■ 避難経路の確保
複数の避難口を用意する
■ 手洗い場を複数設置する
スタッフや利用者さんの手洗い・うがいを徹底する
■ 消火器・救急箱の完備
■ 防犯灯や防犯カメラの設置
事務室の金庫や鍵の管理を徹底する必要もあります
介護保険の指定事業者としてデイサービスを行う場合には、最低限の人員基準をクリアしておくことが必要です。人員基準の具体的内容については以下のとおりです。
1 管理者
事業所ごとに、通所介護の事業以外の職務に従事しない常勤の者1名以上が必要です。管理上支障がいない場合には、他の職務との兼任も認められます。
また、同一敷地内の他の業務スタッフとの兼任も可能ですが、看護師・介護職員との兼務はできません。
2 生活相談員1名以上
通所介護の単位ごとに、その提供を行う時間帯を通じて専ら当該通所介護の提供にあたる者1名以上が必要です。
生活相談員は、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事やこれらと同等の能力を有するものであることが必要です。
3 看護職員1名以上
通所介護の単位ごとに、その提供を行う時間帯を通じて専従する必要はありませんが、提供時間帯を通じて事業所と密接かつ適切な連携を図るものとし、その提供にあたる者1名以上が必要です。
看護職員は、看護師もしくは准看護師であることが必要です。機能訓練指導員との兼務が可能です。
尚、利用者さんが10名以下の小規模デイサービスの場合には、介護職員と合わせて1名以上配置すればよいことになっています。
4 介護職員
通所介護の単位ごとに、その提供を行う時間帯を通じて専ら当該通所介護の提供にあたる者を、利用者さんが15名までは1名以上が必要です。
その後、利用者さんが5名増えるごとに1名以上を追加することが必要です。現段階では特に資格要件はありません。
つまり、以下のようになります。
利用者数 1〜15名 介護職員1名以上
利用者数 16〜20名 介護職員2名以上
利用者数 21〜25名 介護職員3名以上
5 機能訓練指導員
機能訓練指導員とは、日常生活動作の機能が減退しないよう指導する職員です。 通所介護の単位ごとに、その提供を行う時間帯を通じて専ら当該通所介護の提供にあたる者1名以上が必要です。
機能訓練指導員は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師であることが必要です。
まとめると次のようになります。
管理者 | 常勤の者1名以上 |
生活相談員 | 専従の者1名以上 |
看護職員 | 1名以上 |
介護職員 | 専従の者1名以上(利用者15名まで) |
機能訓練指導員 | 専従の者1名以上 |
上記に記載したのは、あくまでも「最低限の人員基準」です。実際、デイサービス事業を行う上での適正な人員とは異なります。
例えば、利用者さんが10名として、法定の人員基準では、最低限以下の人員が配置されていればよいことになります。
管理者 | 1名 |
生活相談員 | 1名 |
介護職員 | 1名 |
看護職員と機能訓練指導員兼務 | 1名 |
合計 | 4名 |
以上合計4名で人員基準を満たすことになります。
しかしこれでは、利用者さん一人一人に対応するという介護は、非常に難しいと思います。特に小規模デイサービスの場合には、個別ケアを行うことが理念として存在していますので、その理念を実現することが非常に厳しくなってきます。
このような状態で事業所経営を行うことは、職員がオーバーワークとなり、結果事業としても立ち行かなくなってしまう可能性もあります。
特に介護職員は利用者10名であれば、3名は配置したいところです。
とはいえ、事業所の立ち上げ当初から、決して高くはない介護報酬の中で、基準以上に人員を増やしていくことには限界もあると思います。
そこで、介護報酬の加算ができるような人員体制を構築することを目指していく必要もあります。
例えば、「サービス提供体制強化加算」では介護福祉士の配置を手厚くした場合に、介護報酬が加算されます。このような介護報酬の加算制度を利用して、職員にも利用者さんにも手厚いデイサービスを経営していくことが必要です。
デイサービスの運営基準として求められることは様々ありますが、代表的なことは運営規程に定めることとなります。運営基準として定めるべきことは次のようなものがあります。
■ 通所介護計画を作成する
■ 通所介護提供にあたっては、懇切丁寧に行うこと
■ 事業者は利用定員を超えて通所介護の提供を行ってはならない
もっと詳しく知りたい方のために、介護事業の専門サイトを開設していますのでそちらもご覧ください。
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