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訪問介護事業のはじめかた

 訪問介護事業をはじめるには、いくつかの要件を満たすことが必要です。以下のとおりです。

1 法人であること

2 人員基準を満たすこと

3 設備基準を満たすこと

4 運営基準を満たすこと

 介護事業を始めるためには、これらの要件を満たすことが不可欠ですので、順番に詳しく見ていきましょう。

訪問介護事業指定の要件−法人であること

 介護保険に基づく訪問介護事業は、法人でなければ行うことができません。

 ただし、法人であれば、その種類は問いません。株式会社でも、合同会社でも、NPO法人でもよいのです。ですから介護事業を立ち上げるには、何でもよいので、法人格を取得することが必要です。

 さて、どの種類の法人を設立するのかということを考えた場合、おすすめできるのは、株式会社か合同会社の営利法人か、もしくは、NPO法人などの非営利法人となります。

 医療法人を設立できるのは医師に限られますので、このサイトでは除外します。

 1 株式会社

 2 合同会社

 3 NPO法人

 4 一般社団法人

 上記の4つに絞って、介護事業立ち上げに適した法人はどれなのか考えたいと思います。

 

1 株式会社

 株式会社を知らないという人は、あまりいないのではないでしょうか?そういう意味でメジャーな法人であるのため、利用者さん等から見ても安心なのではないかと思います。

 また、訪問介護を始めるためには、ヘルパーさんなどの従業員を雇う必要があります。従業員募集の広告を出す場合にも、株式会社としたほうが、有利のように思います。

 考えてみてください。個人の○○さんのところに就職するのと、株式会社に就職するのとでは、やはり株式会社に就職するほうを選択したほうがよいと考えるのではないでしょうか。株式会社にはそのような安心感があります。

 また、将来的に事業を拡大したい事業者さんには、株式会社をお勧めします。事業の拡大には、資金が不可欠です。資金調達の方法としては、銀行からの借入金という方法もありますが、株式会社の場合には、その他に、株式を発行するという方法があります。新規に株式を発行することで、新たな事業に必要な資金を調達することも可能です。

 さらに、株式会社は会社の規模が大きくなるにしたがって、その役員を増員することもできます。会社の機関(取締役会や監査役など)を会社の規模に応じて設定することができます。

 では次に、株式会社のデメリットを考えてみましょう。

 デメリットとして考えられるのは、設立するのに費用がかかるということです。株式会社の設立には、定款の認証費用として約54,000円、登録免許税として150,000円(資本金の額によってはもっと多額になります。)の費用がかかります。つまり実費だけでも20万円以上が必要です。

 株式会社のメリットデメリットについてまとめると以下のようになります。

 メリット 

  ■ ヘルパーさんなどの採用に有利

  ■ 事業を拡大するのに適している

  ■ 誰もが知る組織

 デメリット

  ■ 設立するのに費用がかかる

2 合同会社

 合同会社という会社をご存知ですか?会社法の施行によって新しく認められた会社です。この会社の良いところは、設立手続きが簡単であることです。株式会社に比べて、設立の手続きが簡素化されています。公証人に定款の認証してもらう必要もありません。

 また、費用の面でもお勧めできます。先ほど述べたように、定款認証が不要なので、公証人の定款認証手数料(株式会社の場合には約54,000円)がかかりません。設立手続きにかかる実費は、登録免許税が60,000円です。自分で設立手続きを行うのであれば、実費60,000円のみで設立できます。

 デメリットとして考えられるのは、株式会社と比べて知名度が低いので、ヘルパーさんなどの募集を行うには株式会社のようなネームバリューは期待できないことです。

 また、小さな会社組織を前提としている部分がありますので、事業を拡大していく場合には、株式会社のほうが向いていると思います。

 合同会社のメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

メリット

 ■ 設立の費用が安い

 ■ 小規模な事業には適している

デメリット

 ■ ヘルパーさんなどの募集には不安あり

 ■ 事業の拡大には不向き

3 NPO法人

 株式会社は営利法人です。これに対してNPO法人は非営利法人です。介護事業は公的な事業ということができ、介護事業をNPO法人が行うことは、介護事業の公的なイメージと重なります。これがNPO法人のメリットでしょうか。

 しかし、NPO法人の設立には最低でも、理事3名・監事1名が必要であり、株式会社と比べても、人員の確保が必要になります。

 また、NPO法人を設立するには、主務官庁等の許可が必要となりますので、設立に約5カ月程度を要します。急いで事業を開始したい場合には不向きです。

 NPO法人のメリットとデメリットをまとめると以下のとおりです。

メリット

 ■ NPO法人と介護事業のイメージ

デメリット

 ■ 設立に時間がかかる

 ■ 人員の確保が必要

4 一般社団法人

 NPO法人と同様に、非営利法人に分類されます。NPO法人と異なるのは、主務官庁の許可が不要であるということです。許可が不要なので、設立手続きはNPO法人よりも簡易なものとなります。

 設立手続きには、定款認証が必要なので、公証人の定款認証手数料が約54,000円かかります。また、登録免許税は60,000円かかりますので、合計で実費が10万円以上かかります。

 一般社団法人のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット

 ■ 公的な法人のイメージ

 ■ 主務官庁等の許可が不要

デメリット

 ■ 設立に費用がかかる

結 論  

 以上、4つの法人について、介護事業の開業という観点からみてきましたが、総合的に判断すると、株式会社が良いのではないかと思います。設立に費用がかかるというデメリットはありますが、設立までの期間は2〜3週間程度であり、介護事業を開業後も、必要に応じて組織の見直しも可能です。ヘルパーさんの募集などの点でも有利です。

訪問介護事業指定の要件−人員基準

訪問介護事業を開業するには、以下の3つの職種を配置することが必要です。また、それぞれの職種について、定められた人数の人員が必要になります。

1 管理者

2 サービス提供責任者

3 訪問介護員

 

それぞれの職種と人員について詳しく見ていきましょう。

 

1 管理者

 管理者とは訪問介護事業所の責任者です。管理者になるために特に資格は要求されません。専ら職務に従事する常勤の管理者であることが必要です。人数は1名以上です。

 また、次に述べるサービス提供責任者との兼務も可能です。

 

2 サービス提供責任者

 サービス提供責任者とは、訪問介護事業の責任者です。ヘルパーさんのまとめ役ということができます。サービス提供責任者は以下のいずれかの要件を満たすことが必要です。

 ■ 介護福祉士

 ■ 介護職員基礎研修課程修了者

 ■ ヘルパー1級免許保有者(訪問介護員養成研修1級課程修了者)

 ■ ヘルパー2級免許保有者(訪問介護員養成研修2級課程修了者)で3年以上の実務経験のある者(注)

 ■ 看護師、准看護師

 (注)暫定的なものであるため上級資格を取得する努力義務があります。介護報酬が10%減算となります。

 サービス提供責任者は、専ら訪問介護の職務に従事する常勤のものを、事業の規模に応じて1名以上選任することが必要です。

 

3 訪問介護員

 ヘルパーさんのことです。実際に利用者さんのお宅に訪問して介護サービスを提供します。訪問介護員は以下のいずれかの要件を満たすことが必要です。

 ■ 介護福祉士

 ■ 介護職員基礎研修課程修了者

 ■ ヘルパー1級免許保有者(訪問介護員養成研修1級課程修了者)

 ■ ヘルパー2級免許保有者(訪問介護員養成研修2級課程修了者)

 ■ 看護師、准看護師

 訪問介護員は常勤換算方法で2.5以上の人員が必要です。2.5の中にはサービス提供責任者も含みます。

 以上をまとめると次の表のようになります。

職種 資格要件 配置基準
管理者 なし 専らその職務に従事する常勤の者1名以上
サービス提供責任者 ■ 介護福祉士

■ 介護職員基礎研修課程修了者

■ ヘルパー1級免許保有者

■ ヘルパー2級免許保有者で3年以上の実務経験のある者

■ 看護師、准看護師

専ら訪問介護の職務に従事する常勤のものを、事業の規模に応じて1名以上選任
訪問介護員 ■ 介護福祉士

■ 介護職員基礎研修課程修了者

■ ヘルパー1級免許保有者

■ ヘルパー2級免許保有者

■ 看護師、准看護師

常勤換算方法で2.5以上の人員が必要

兼務について

 管理者とサービス提供責任者は兼務することができます。訪問介護事業を開業する場合に、管理者とサービス提供責任者を兼務すると、これに常勤の訪問介護員が2名いれば常勤換算で2.5以上となり、人員基準を満たします。

ここで、上記の表の中の用語について説明いたします。

1 常勤

 常勤とは、事業所の営業時間中に職務についていることです。例えば営業時間が午前9時から午後6時(途中休憩1時間)までとすれば、その間は職務についていることが必要です。

 週休2日制の事業所であるとすれば、以下のように40時間の間職務についていることが必要です。

  1日8時間勤務×5日間=40時間

 ただし、1週間当たりの労働時間が32時間を下回る場合には、常勤として認められませんので、32時間以上となるようにしなければなりません。例えば以下のように、1週間の労働時間が25時間の場合には、プラス7時間の労働時間を設定することが必要になります。

  1日5時間勤務×5日間=25時間

 

2 専らその職務に従事する

 専らその職務に従事するとは、勤務時間中はその職務に従事して、それ以外の職務を行わないことを意味します。専任としてその職務を行うということです。

 

3 専ら訪問介護の職務に従事する

 専ら訪問介護の職務に従事するとは、勤務時間中は訪問介護の職務に従事して、それ以外の職務を行わないことを意味します。専任の訪問介護職員ということです。

 

4 常勤換算方法

 常勤換算方法とは、次の式で表されます。

  (職員の勤務時間)÷(常勤職員が勤務すべき時間)

 例えば、1日8時間労働で週休2日制という事業所の場合、1日8時間勤務する職員は常勤換算で次のようになります。

  勤務時間8時間÷常勤職員が勤務すべき時間8時間=1

 次に、1日5時間勤務する職員は常勤換算で次のようになります。

  勤務時間4時間÷常勤職員が勤務すべき時間8時間=0.5

 訪問介護事業を開業するには、「常勤換算方法で2.5以上」が必要ですので、上記の例では、常勤換算で1.5であるため、あと1.0不足しています。

 つまり、勤務時間8時間の職員を2名と勤務時間4時間の非常勤職員1名がいれば、常勤換算で2.5となりますので、常勤換算の要件を満たすことになります。

 

5 事業の規模に応じて(サービス提供責任者の数)

 サービス提供責任者は、前3月の平均利用者が40名ごとに1人以上配置することが必要です。

 つまり、以下のようになります。

利用者の人数 サービス提供責任者
0人〜40人 1名以上
41人〜80人 2名以上
81人〜120人 3名以上

訪問介護事業の要件−設備基準

 訪問介護事業を開業するには設備基準を満たす必要があります。必要な設備は以下のとおりです。

 

1 事務室

 広さの規定はありませんが、事務をとる机やイスなどを設置できるスペースが必要です。事務室には利用者さんに関する書類を保管するための鍵付きのキャビネットを設置する必要があります。

 事務室は管理者やサービス提供責任者、訪問介護員が事務を行うための場所ですので、その人数分の机とイスは必要です。また、電話やFAXも必要になるでしょう。

 

2 相談室

 利用者さんやそのご家族が相談をするために相談室を設ける必要があります。相談者のプライバシーを保護するため、事務室と相談室は区分されていることが必要です。個室を設けることが望ましいですが、事務室から相談室が見えないようにパーテーションで区分することでも可能です。

 相談室は利用申し込みの手続きや、利用者さんと職員との打ち合わせなどに利用する場所となりますので、事務室同様に机とイスが必要です。3〜4名が同席できるスペースがあればよいと思います。

 また、相談者へのプライバシーに配慮する必要がありますので、事務室から見えないようにパーテーションで区分すること、通行人などが外から覗くことができないように、目隠しをつけることも必要です。

 

3 衛生設備

 感染症の予防のため、手指を消毒できる洗面所及びせっけんアルコール消毒液が必要です。

 

4 自宅での開業について

 訪問介護事業所を自宅で開業することも可能です。ただし、各都道府県・市町村によって対応は異なります。自宅で開業するためには、住居スペースと訪問介護事業所のスペースが完全に区分されていて、訪問介護事業所の独立性が保たれていることが必要です。

 完全に区分されているといえるようなケースとしては、例えば二世帯住宅のように居住部分と事業所部分の入り口が別々になっているケースが考えられます。

 いずれにしても、指定申請を行う役所に事前に確認する必要があります。

訪問介護事業指定の要件−運営基準

 訪問介護事業の運営基準は以下のとおりです。

1 訪問介護計画が作成されていること。
2 利用者管理台帳(サービス提供時の記録、事故の記録、苦情の記録などを記載)が準備されていること。
3 同居家族に対するサービス提供を行なわないこと。
4 利用者の病状急変時等における主治医への連絡などの緊急体制が整備されていること。
5 運営規程の概要、秘密保持、訪問介護員の勤務体制、苦情処理体制等を記載した文書を利用申込者に交付(説明)し、利用申込者の同意を得た上でサービスの提供を行なうこと。

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